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自費診療と保険診療

国民皆保険
私たちは何らかの医療保険に加入しなければならないことになっています(生活保護を除く)。
医療保険には企業などの職場を通して加入する「社会保険」と、その他の人が加入する「国民健康保険」があります。被保険者は、保険者に所定の保険料を納めることによって、あらかじめ決めたれた負担割合で医療を受けることができます。ただし保険の適用を受けるには保険医療機関(その場所で保険診療をおこなってもよいという許可を受けている医療施設)の保険医(保険診療を行ってもよいという許可を受けた医師)による治療に限られます。

また、すべての病気に対して適用できるわけではなく、検査法や治療法、期間、薬剤、使用材料にいたるまで、こと細かく規制されており何かと制限が付きまとうため、保険診療のみで患者さんのすべての希望をかなえることができないのが現状です。ではその仕組みをみてみましょう。

被保険者は保険者に対して保険料を支払います。これは保健診療を受けても受けなくても必ず支払わなければならないものです。病気やケガをして保健診療を受けた場合、決められて割合(0〜3割)に応じて治療費を医療機関に一部負担金として支払います。医療機関は治療費のうち足らない分を支払基金・国保連合会に請求します。その時に医療機関から提出される診療報酬明細書をレセプトといい、所定の審査を受けて問題がなければ医療機関に支払われるようになっています。

自費診療
このような医療保険を一切適用せず、治療費の全額を負担する場合が自費診療です。保険制度の細かい規制や枠組みに左右されることなく患者個々の要求にフレキシブルに対応できる「自由診療」も、自費診療に含まれます。

歯科医療技術はめざましい進化と発展を遂げてきました。現在も急速に進歩しています。
今までは不可能とされていた、組織を再生する再生療法や、予知性の高いインプラント、無麻酔で小手術が可能なレーザー治療、削らずに歯を白くするホワイトニング、矯正治療などは、その代表ともいえるでしょう。しかし、これらの治療法は一切保険の適用は認めてもらえないのが現状です。

私たち歯科医師が提供できる治療法はどんどん進歩して拡大しています。保険が適用できる治療法はその中のほんの一部に過ぎません。年々医療費が国の財政を圧迫しているので、全ての技術を保険で賄おうとするのは国としては無理なことなので仕方ないのですが、同時に患者さんの要求全てを満たすことにも無理が生じてくるわけです。
では、主な保険診療の制限と、自費診療と保険診療の利点・欠点を比較してみましょう。

主な保険の制限の1例(H19現在)
ここに挙げたのはほんの一例であり、これにとどまるものではありません。詳しい内容は保険点数算定のための解釈を細かく記した厚さ数センチにも及ぶ解説書があり、それに全てが書かれています。
いわばルールブックのようなものですが、解説書の厚みが厚いということは、それだけルールも多いということです。ここでは主にどのような制限があるのかを大まかに挙げ、そして具体的にはどのようなことなのかを一例を挙げてみます。
例えば・・・
・材料の制限 あらゆるケースにおいてセラミック、金合金、チタン合金は不可。
入れ歯はレジンと呼ばれるプラスティックのみ可。
・薬剤の制限

細かい適応症が決まっており、全ての実態に応じ切れない。
一部の限られた場合を除いてフッ素塗布は不可。

・期間の制限 1つの医療機関で同じ入れ歯を半年以内に作ることは不可。
医療機関を変えれば半年以内でも良いことになっているが根拠は不明。
・処置の制限 インプラント、ホワイトニング、再生療法、レーザー治療は一切不可。
矯正治療も不可(一部の限られた場合を除く)

自費診療と保険診療の利点・欠点
自費で行う治療にも、保険の範囲内で行う治療にもそれぞれの利点・欠点があります。

自費診療
 利点  ・処置法選択の自由度が高い
 ・患者のニーズに応えやすい
 ・満足な治療結果を得られやすい
 ・最新技術を利用できる
 ・ほとんど制限がない
 欠点  ・高額な費用と時間がかかる
 ・医院によって料金が異なる
保険診療
 利点  ・自己負担金が少ない
 ・保険点数はどの医院でも同じ
 欠点  ・保険制度が極めて複雑
 ・保険点数の改訂が頻繁に起こる
 ・治療は全て制限が付きまとう
 ・患者には保険点数が分からない
 ・点数配分の根拠が不明

自費診療と保険診療の比較はとてもデリケートな問題です。念のために申し上げておきますと、保険診療で痛みを取り除き、ある程度噛めるようにすることはできます。ただ、私たち歯科医師も患者さんと同様に「人間」であり、神様でもなければ魔法使いでもないのですから、このような多くの制限の中で患者さんの希望を全て叶えることはできないように思います。
でも 歯科医師である以上、歯科医師は最大限の努力をします。こうした枠組みの中でもできる限り患者さんの要望や期待に応えられるように、専門家としての努力をしていかなくてはならないと考えています。

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