フッ素とキシリトール

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フッ素とキシリトール

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フッ素とキシリトール

フッ素塗布の目的を再考する
ここ数年来、フッ素は虫歯になりにくい丈夫な歯をつくり、キシリトールは虫歯の予防効果があるという認識がかなり高くなったように思います。しかしその一方で、フッ素を応用することで虫歯にならないとか、キシリトール含有の食品やガムを口にしてさえいればそれだけで予防になるといった誤った考え方が広まっていることも確かなようです。

診療所に来られる子どもの家族から「虫歯にならないようにフッ素を塗ってほしい」と言う依頼が実に多い。中には、すでに歯が大きく崩壊した虫歯であるにもかかわらず、「フッ素を塗って治してほしい」と問診表に記載されていたケースもある。虫歯にならないようなフッ素の塗り方はないのです。
フッ化物という薬剤のちからに頼りきってしまったり、誤った認識を持ち続けることはとても危険です。

確かにフッ素とキシリトールは予防に大きな効果を発揮しますし、私自身、臨床上かなりの効果を実感しています。しかし、口腔疾患の予防で最も大切なことは、正しい歯磨き、衛生観念の向上、適切な食生活と定期健診であって、決してフッ素を塗布することやキシリトールを摂取することではありません。

フッ素とキシリトールは予防の1つの手段であって、塗ったり食べたりすることを目的としないように注意が必要です。 今一度、ここでフッ素とキシリトールの正しい考え方を再考していきましょう。

フッ素に対する親の認識調査(自医院来院患者)

0〜12歳の子どもを持つ親を対象に、私が行ったアンケート調査で「子どもにフッ素塗布を希望しますか?」という質問に対して、「はい」と答えたのが有効回答のうち87.7%、「どちらでも良い」と答えたのが7.9%、「いいえ」と答えたのが4.4%でした。
フッ素に対していかに関心が強いかを示しています。

 「はい」と答えた理由について(一部を抜粋)
 ・学校でフッ素塗布を勧められた、もしくは保健指導をうけたから
 ・虫歯にならないから
 ・他の子どもたちもフッ素を塗っているから
 ・新聞、テレビ、雑誌などで紹介されていた
 ・虫歯予防の一環として、予防効果を高めるため
 「いいえ」と答えた理由について(一部を抜粋)
 ・子どもが嫌がるから
 ・保健が適用できないため
 ・フッ素の毒性に不安がある
 ・フッ素を塗っても虫歯になってしまったという話を聞いたことがあるから

「はい」と答えた理由の中で興味深いのは、子どもにフッ素塗布をさせたいという希望をもってはいるものの、周囲からの情報に依存した「受身のフッ素塗布」が依然多く、「虫歯予防の一環として、予防効果を高めるため」という理想的な認識を持っているケースが少ないことです。

また「いいえ」と答えた理由の中で注目したいのは、フッ素を塗っても虫歯になってしまったという話を聞いたことがあるからという回答です。実はこれは正しい。

フッ素の塗布は、まず正しい歯磨き法を身につけ、それを実行し、歯科医の指導のもとに個々にあわせて応用してはじめてその優れた効果を発揮するものです。歯磨きを怠り、乱れた食生活を続けている中でいくらフッ素を塗っても効果は期待できないことを知っておきましょう。

フッ素の予防メカニズム
フッ素には歯に対する作用として「フルオロアパタイトの生成」、「結晶性の向上」、「再石灰化の促進」また、口腔内の環境に対しての作用として「細菌活動性の抑制」、「細菌酵素作用の抑制」の二つに大きく分けられます。

フッ化物が歯のエナメル質に作用しますと、エナメル質の主成分であるハイドロキシアパタイトと置換してフルオロアパタイトを生成します。これにより、エナメル質はより安定した結晶構造を持つようになり、耐酸性を向上することになります。さらに、唾液中に存在するCaイオン、リン酸イオンとともに歯に再沈着し結晶構造を修復します。これを再石灰化と呼んでいます。

またフッ素には、細菌が糖分を菌体内に取り込んでエネルギーを作る過程で必要なエラノーゼという酵素の活性を阻害する働きを持っています。つまり、口腔内にフッ化物が存在することによって、細菌はエネルギーを産生できなくなり、結果として酸を作ることができない環境を作り出します。

キシリトールを再考する
キシリトールは糖アルコールと呼ばれる天然の甘みを持った炭水化物です。糖アルコールとは糖が還元されたもので様々な植物の中に含まれています。天然のキシリトールの場合、イチゴ類、カリフラワー、プルーンなどに多く含まれ、工業的には白樺に含まれるキシランという成分を加水分化して得られたキシロースを還元して作られています。

写真の左側は工業生産されたキシリトールの粒です。無色・透明・無臭の結晶で、グラニュー糖に比べて結晶の形や大きさがやや不均一ですが大変よく似ています。水に溶けやすく味もグラニュー糖によく似ており甘みも強く、冷たく感じるような清涼感があります。 キシリトールとグラニュー糖の結晶

キシリトールの虫歯予防メカニズム
虫歯はミュータンス菌が糖を分解して産生する酸によってエナメル質を脱灰する事で起こります。
キシリトールは、このミュータンス菌に対して他の糖アルコールには見られない、特有の作用を持っています。「キシリトールの無益回路」と呼ばれるキシリトールとミュータンス菌の関係をみて見ましょう。

口腔内に運ばれてきたキシリトールは唾液に溶解して、ミュータンス菌と出会うことになります。そしてキシリトールがミュータンス菌の外部から細胞膜を通って菌体内に運ばれると、ミュータンス菌はキシリトール5−リン酸という代謝産物を産生します。これが静菌作用を持つと言われています。

さらに、キシリトール5−リン酸はミュータンス菌体内で加水分解され無機リン酸塩とキシリトールに分解します。ここで新たに分解されたキシリトールは再びミュータンス菌の外部に運び出されることになります。この過程でミュータンス菌はキシリトールをエネルギーに変換できないばかりか、逆にエネルギーを消費してしまいます。その結果ミュータンス菌は活性を失うことなり、次第に数が減っていくことになります。これがキシリトール特有のう蝕予防メカニズムです。

キシリトールの作用はこれにとどまらず、糖アルコール分子のOH基が唾液やプラークのカルシウムと複合体を作り、水溶性のカルシウム量を増やします。このカルシウムがエナメル質表面の再石灰化を促すものと考えられています。

フッ素と同様にキシリトールもできるだけ長い時間口腔内に留まっていることが望ましいです。
したがって、キシリトールの摂取の仕方としてはキシリトールガムやキシリトールキャンディーが推奨されます。

フッ素とキシリトールに頼る前に・・・
まず専門家(歯科医師・歯科衛生士)に正しいブラッシング法の指導を受け、それを実行してください。そして食生活を見直し定期健診を行いましょう。何らかの問題がある場合は早期に治療を受けて再発の防止に努めなければなりません。これが予防の第一歩となります。

フッ素とキシリトールには、う蝕を抑制する作用があることは間違いありません。しかし、このような基本的な予防概念や衛生観念がないままフッ素洗口や塗布を続けたり、キシリトールガムをかみ続けていてもその効果は0(ゼロ)に等しい。あくまでも予防のオプションであるということを認識しながら虫歯予防に努めていただきたいと思います。

 
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